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01 — SECTION

怪異とは何か

定義

怪異とは、集合的な噂・言説・信念が臨界点を超えた時に現実へと侵食する存在だ。専門家はこれをバグと呼ぶ。情報が形を持ち、物理世界に干渉する現象の総称だ。

発生原理

噂が広まり、信じる人間が増え、集合的な信念の密度が閾値を超えると現実にバグとして出力される。拡散速度と信じる人間の数が怪異の規模と強度に影響する。

オカルトがフィクションとして消費され怪談として語られることも噂の拡散に寄与する。この世界においてオカルトコンテンツは怪異の燃料だ。

一般人との関係

怪異は討伐者だけを標的にしない。噂の発信者・偶然の目撃者・関係のない通行人も等しく被害を受ける。

怪異に遭遇した一般人は体験を鮮明に覚えている。しかし話しても誰も信じてくれない。友人には幻覚と笑われ、医者にはストレスと処理される。SNSに書けば創作扱いされる。体験は本物だ。しかし体験を共有できる相手がいない。

知識があれば一般人でも怪異のルールを回避できる。物理的に核に干渉することも可能だ。討伐者と一般人の差は能力ではなく知識・訓練・装備の差だ。

02 — SECTION

核とルール

怪異の存在の中心であり消滅条件の鍵だ。基本的には物に宿る。特定の場所・道具・建造物・記録媒体などだ。稀に死体や生きた人間に宿る場合があり、その場合は対処の難度と倫理的複雑さが跳ね上がる。

核を無効化・破壊することが怪異消滅の最短経路だが、どこに何が核なのかは調査と解明を経て初めて分かる。

ルール

怪異が人間を害するための条件だ。怪異はこのルールに従ってしか人間を害せない。ルールを破れば破るほど怪異から逃げられなくなる。

ルールは怪異が人を殺す手順であると同時に、怪異が人を捕捉・追跡するトリガーでもある。無意識にルールを一度も破らなかった一般人が理由も分からず生還するケースがある。本人は運が良かったとしか思っていない。

強い怪異ほどルールが複雑で厳密になる傾向がある。長い年月をかけて語り継がれる中でルールも精緻化されていくからだ。

03 — SECTION

怪異の分類

強さによる分類

古い怪異

長い歴史の中で語り継がれ積み上げられた怪異だ。民俗学・文献・口承によって対処法が存在する場合が多い。強さは桁違いだが知識があれば攻略の糸口がある。弱点は必ず民俗学的記録に痕跡がある。神社・古文書・民俗学者が重要なリソースになる。

新しい怪異

現代の情報社会で生まれた怪異だ。SNS・都市伝説・ネットロアが発生源。拡散速度が強さに比例する可能性がある。強さは低めだが初見殺しと未知数が最大のリスクだ。データベースに記録がなく対処法が存在しない。

永続性による分類

一時型

核が破壊されると消滅する標準的な怪異だ。ただし噂の中身が変質して似た性質の派生体が後日発生するケースがある。派生体は元の怪異と別個体であり調査・解明の省略は禁止だ。

循環型(都市伝説型)

社会に深く根を張った怪異だ。核を破壊しても噂が生き続ける限り新たな核を形成して再出現する。討伐は根絶ではなく制圧だ。完全根絶には噂そのものを消す必要があるがこれは現実的にほぼ不可能だ。

定着型(禁足地・土地型)

特定の土地そのものに根を張った怪異だ。

  • 破壊困難タイプ:核が土地と一体化しすぎており通常手段では無効化できない。公的機関が封鎖して放置する選択を取る理由がここにある。
  • 一度限りタイプ:核の特定と破壊に成功すると噂の構造ごと崩壊して完全消滅する。達成した討伐者は伝説扱いされる。

等級体系

怪異は存在強度等級脅威度種別の二軸で表記される。

存在強度等級(特級〜五級)

怪異の本質的な強さを示す。等級が高いほど強い。

等級位置づけ基準
特級災害現状の手段では消滅が極めて困難。封印・管理が限界
一級大ボス信念密度が非常に高い。長い歴史を持つ強力な怪異
二級ボス記録のある古い怪異の大半
三級中ボス拡散が進んだ新しい怪異など。化け物じみた強さだが力押しも不可能ではない
四級雑魚発生したばかりの新しい怪異
五級雑魚魔法事故由来の微小怪異。自然消滅することが多い

脅威度種別(甲種〜丁種)

怪異が人間にどの程度の害をなすかを示す。

種別基準
甲種無差別に人を害する。接触した全員が標的
乙種ルールを破った者など条件付きで害する
丙種刺激しなければ安全。放置が最善の場合がある
丁種人を害さない。共存可能または信仰対象に近い

備考として影響範囲(広域型・局所型)と被害性質(物理型・精神型・複合型)が付記される。

存在強度と脅威度は必ずしも一致しない。強いが安全な怪異(一級丁種)、弱いが危険な怪異(五級甲種)が存在する。

改造個体と別個体

怪異は何らかの外部干渉によってルールが変質する場合がある。

  • 改造個体:ルール変質が50%未満の怪異だ。元の知識がある程度通用するが決定的にルールが食い違う瞬間がある。
  • 別個体:ルール変質が50%以上の怪異だ。新しい核と新しいルールを持つ完全に別の怪異として扱う。元の知識はほぼ役に立たない。

変質割合の現場判定に確立された手段はない。誤判定は討伐失敗に直結する。

怪異と神について

討伐者の間では怪異と神の関係についてこういう話がある。

「恐れられているか信仰されているかの違いだけだ。」

真偽は不明だ。ただし神社の御神体が怪異化したという記録が残っていることは事実だ。神だから討伐できないという保護はこの世界に存在しない。

04 — SECTION

怪異を暴くプロセス

討伐は三段階のプロセスで構成される。ただし全段階を踏む必要があるのは二級以上の怪異だ。

等級必要な段階備考
五級・四級(雑魚)戦闘のみ魔法や物理で直接倒せる。日常的に湧く害獣だ
三級(中ボス)戦闘(+調査・解明は任意)力押しも可能だが、プロセスを踏めば弱体化させてから戦える
二級以上(ボス〜災害)全三段階解明なしでは核にダメージを与えられない

五級・四級は雑魚だ。討伐免許を持つ討伐者なら調査なしでその場で対処できる。三級は中ボスだ。腕に覚えのある討伐者なら力押しで倒せるが、準備なしで挑めば死人が出る。二級以上は調べなければ勝てない。

第一段階:調査プロセス

怪異の存在を確認し正体と性質を特定する段階だ。

調査で明らかにすること:この怪異は何者か、古い怪異か新しい怪異か、発生源となった噂は何か、核はどこに宿っているか、被害のパターンと範囲はどうか。

調査手段:

  • 被害者・目撃者への聞き込み
  • 現場の物的証拠の収集
  • 公的機関のデータベース照会
  • 民俗学文献・古文書の調査
  • SNSや都市伝説サイトの追跡
  • 現地での直接観察

改造個体・別個体の違和感として以下の四つが調査段階で現れる。文献との齟齬、被害パターンの不一致、核の所在の混乱、目撃証言の分裂だ。この段階では「何かがおかしい」とは感じるが理由が分からない。

第二段階:解明プロセス

怪異のルールを特定し弱点につながる法則を見つける段階だ。解明プロセスそのものが命がけだ。ルールを破れば逃げられなくなる。情報収集と生存のトレードオフが常に発生する。

  • 改造個体の驚き:途中まで既知の怪異と完全に一致するが、ある一点でルールが決定的に食い違う瞬間が来る。
  • 別個体の驚き:改造個体だという前提で解明を進めている途中で全く別の核とルールを持つ独立した怪異だと判明する。それまでの解明作業が全て無効になる。
  • 最も恐ろしいパターン:改造個体と解明して討伐に挑んだ瞬間に別個体だと判明するケースだ。怪異は健在で討伐者はルールを破り続けた状態で無防備になっている。

第三段階:討伐プロセス

調査と解明で得た情報を元に怪異を無力化する段階だ。核を破壊または無効化することが基本だが核の在処と無効化の方法は怪異によって異なる。

二級以上の怪異は戦闘力だけでは解決できない。 五級・四級は腕力で片がつく。三級は判断が分かれる——力に自信があるなら突っ込んでもいいが、調べてからの方が確実に生き残れる。

05 — SECTION

討伐手段

基本原則

物理と霊的手段はどちらも基本的に有効だ。討伐者の所属と装備によって得意な手段が異なる。

ボスレベル怪異への対処

強い怪異になるほど耐性と制約が生まれる。

  • 物理耐性型:霊的手段・魔法・魔導具は有効だが物理攻撃がほぼ通じない
  • 霊的耐性型:物理・魔導具は有効だが魔法や霊的手段が通じない
  • ルール依存型:怪異のルールに則った手段でしか攻撃が通らない。解明なしでは攻撃が無効になる

無力化の方法

討伐者の間で共有されている無力化方法は破壊だ。怪異の核を物理的・霊的・魔法的手段で破壊することで怪異を消滅させる。

隷化(怪異を支配下に置く方法)の存在を示唆する情報もあるが公的機関は公式には認めていない。詳細は不明だ。

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